Lesson 8

応用会話


課長: 40才ぐらい
松本:        男子社員        30才ぐらい
高田 女子社員        25才ぐらい


松本 「高田さん、この書類ちょっと調べてくれない。」
高田 「いま忙しいのよ。運搬機さんに頼んでもらいかしら。 いま暇らしいから。」
松本 「そうだね。じゃ運搬機に回そうか。」
課長 「君達、その運搬機ってなんだね。」
高田 「あら、課長さん、そこにいらしたんですか。」
松本 「すみません。」
課長 「運搬機っていうのは誰かのあだ名かね。」
高田 「ええ、じつは......。」
松本川口君のあだ名です。正しくは『月給運搬機』です。」
課長 「どうして。」
松本 「入社して以来、決して会社の帰りによそ寄った事がない んです。月給日に僕達がいくら誘っても断って、まっすぐ 家に帰って奥さんに月給をのまま渡してしまうんです。」
課長 「なるほど、それで『月給運搬機』か。しかし、バーなんか に寄らないでまっすぐ帰るのは感心じゃないか。」
松本 「ええ、まじめな人です。会社を休んだ事も遅刻した事も ありません。」
高田 「でも、あまり積極的に仕事をする意欲はないようですね。 難しい仕事は辞退することにしてるんだろうですもの。」
課長 「あだ名のことは分かった。とにかくその仕事を早く川口君 にやってもらってくれ。」
松本 「はい。」
高田 「かしこまりました。」

***

松本 「困ったなあ、課長に聞かれちゃって。」
高田 「構うもんですか。大体、松本さん、あなたみたいにいつも 獅子糞迅の努力して仕事をしている人も、あんな月給運搬 機も同じ月給だなんて変よ。この会社、年功序列制度だか らいけないのね。」
松本 「それにまあ、終身雇用制度でもあるしね。」
高田 「アメリカの経営者だったら川口さんなんか首になって松本 さんはもっと月給が上がっているかもしれないわ。」
松本 「アメリカの方が合理的かもしれないね。」
高田 「そうよ。日本はアメリカの雇用制度を見習うといいんだわ。」
松本 「でも、高田さん、もし君が仕事をよくやったとしても、上の にそれを認めてもらえなかったらどうなる。」
高田 「認めてもらえなかったら仕事をしないのと同じね。不景気に なると首になってしまうかもしれない。だから認めてもらえ るように努力しなけりゃならないわね。」
松本 「仕事が出来てもけんそんな人はだめだということになるね。」
高田 「そうかもしれないわね。」
松本 「それから、いつも不向きな仕事をやらされたり、大きな仕事 をやる機会が与えられなかった場合、認めてもらうのが難し くなるね。」
高田 「そうねえ。」
松本 「そうだとするとアメリカ式も一概にいいとは言えなくなるか もしれないよ。」
高田 「この会社のようなやり方にもいい所があるかもしれないわ ね。」
松本 「けんそんな人も首にならずにすむし、人と競争したくない人 も平和に暮らしていけるからね、」
課長 「松本君、あの仕事はどうなったかね。」
松本 「はい、これから川口君の所へ回します。」
課長 「急ぐからね。早くやってくれよ。おしゃべりしてると能率が 下がるぞ。」
松本 「はい。」
高田 「すみません。」