Lesson 5

山 と 女 性


この夏、久しぶりに奥穂高岳に登った。以前、奥穂高岳に行くと必ず 泊まることにしていた小屋がりっぱになったのに感心したが、女性の 登山客の多いのにも驚いた。ちょっと見ると女性のほうが多いのでは ないか (1) と思うくらいだった。

昔、といってもそんなに古いことではないが、昭和十六、七年ごろに は、白馬立山別として (2)北アルプスとなると (3) 女性に会うことは めったになかった。女性が山に登ったりすると「女のくせに、山に 登る」といって非難されたものである。

それが、ここ数年来この盛況ぶりである。女性の解放も進んだものだ。 このように女性が自由に登山できるようになったのは、女性にはもち ろん、男性にとっても悪いことではない。社会の進歩はけっこうな ことである。

小屋の中で、こんな事を考えているうちに、ふと、おもしろいことに 気がついた (4) 。ここにいる女性は、だいたい、みんな未婚の人たちばか りらしいのである。これだけ山の好きな女性がいるのに、結婚してか らは、なかなか山に登れないもののようだ。



会話文


A:  こないだ (5) 、久しぶりに山に登ってきたよ。

B:  そういえば、ずいぶん行かなかったね。何年ぶりぐらいだい。

A:  七年ぶりぐらいかもしれないよ。山もずいぶん変わったよ。前にね、 山へ行くと、必ず泊まることにしていた小屋があっただろう。

B:  うん。

A:  あそこがすごくりっぱになったのに感心しちゃったよ。そのうえ、 女の人が多いのにも驚いたなあ。女の人のほうが多いんじゃないか と思うぐらい、たくさんいたよ。

B:  ふうん。昔は「女のくせに」なんて言われたもんだがね。

A:  そう。白馬や立山は別として、北アルプスとなると、女の人に会う なんてこた (6) めったになかったからね。

B:  女性解放も進んだもんだね。しかし、そりゃ男にとっても悪いこと じゃないか。

A:  それでね、ちょっと気がついたんだけどさ、どうもその女の人って いうのが、みんな結婚前の人ばっかり (7) らしいんだ。これだけ山の 好きな人がいるのに、どうして結婚すると山に登んなく (8) なるのか、 それが不思議だったな。