Lesson 11

応用会話


高橋夫人 主婦 37才ぐらい
高橋氏 主人 40才ぐらい
よし子        お手伝いさん        17才ぐらい


高橋夫人 「よっちゃん。」
よし子 「ハーイ。」
高橋夫人 「よっちゃん、ちょっとこっちへ来てちょうだい。」
よし子 「はい、奥様、何か … … 。」
高橋夫人食器棚の戸が開けっぱなしよ。はえが入るから忘れないで 閉めといてね。」
よし子 「はあ、閉めたはずなんですけど、やっぱりちょっと開いて ますねえ、どうもすみません。」
高橋夫人 「あんまり力を入れて強く閉めると、かえって開いてしまう のよ。そっと閉めてね。よっちゃんは若くて力があるから 仕方がないけど。」
よし子 「いえ、気をつけます。」
高橋夫人 「それから、朝御飯のバターが出しっぱなしよ。冷蔵庫に 入れといてね。」
よし子 「はい。」
高橋夫人 「これから、お掃除するの。」
よし子 「はあ、あの、坊っちゃまのお部屋もお掃除しておきま しょうか。」
高橋夫人 「ええ、だけど机の上は片付けないでね。机の上の整頓は 自分でやることになってるんだから、一切手伝わないで ね。」
よし子 「はい、ですけど、いろんな物がまるで山になってますよ。 あれじゃ朝カバンに入れる物を捜すのが大変でございま すよ。」
高橋夫人 「そうよ。今朝も野球のボールがないって大騒ぎ。」
よし子 「学校に遅れたりなさらないんですかねえ。」
高橋夫人 「それはなんとか間に合うらしいけど。全くあきれる。あら、 あなた、もうお出かけ … … 。」
高橋氏 「うん、今日は少し早目に行こうと思ってね。はもう 出かけたかい。」
高橋夫人 「ええ。あれがない、これがないって、あっちこっち ひっくり返して大騒ぎして出かけましたわ。」
高橋氏 「しょうがない子だねえ、もう小学校四年になるのに。女 の子があれじゃ困るが、ま、男の子だから、いいだろ。」
高橋夫人 「それがいけないんですよ。そういう風に諦めてらっしゃる から。お父様がやりっぱなしのお手本をお見せになるから、 あの子が真似をして、それに、よっちゃんまで。」
よし子 「いえ、そんな。わたしは真似をするつもりなんかちっとも ないんでございますのに。」
高橋夫人 「冗談よ、よっちゃん、忙しいからつい忘れるのよ、ね。さ、 カバンをお渡ししてちょうだい。」
よし子 「はい。」
高橋氏 「ああ、ありがとう。じゃ行ってくるよ。」
高橋夫人 「いってらっしゃいませ。」
よし子 「いっていらっしゃいませ。」