Lesson 1

恩師


先日、ある会合で、数年ぶりに、大学時代恩師佐々木先生にお目にかかった。 お目にかかって、はじめて、ずいぶんごぶさたしていたことに気がつき、 赤面した。それにしても先生が、相変わらずお元気なのに驚きまし、 喜びました。会合のあとで、会場近所にある、ある喫茶店お供し同級生や、先輩後輩などの話をしてたのしい時間をすごした。以前、 先生はお酒がお好きだったので、そのことについておうかがいすると、 いまはもうお飲みにならないとのこと (1) 。昨年の夏、手術を受けられて (2) 以来、絶対にめしあがらないことになさったとのことで、驚いてしまった。 最後に正月には友人とお邪魔することをお約束して、お別れした。

最近、大学があふれマス・プロ教育が大きな問題になっている。 ある大学に通っていた友人の話によると、自分の先生の顔も知らずに単位とってしまったなどという人もあるそうだ。このように教師と学生との 関係が希薄になっている現在、恩師と考えることのできる人を持つ私は、 なんと幸福な人間であろうか (3) 。「恩師」ということばが、教師と学生との 間の封建的関係を意味するといってきらう人もいるそうだが、それよりも、 教師と学生との関係の希薄化のほうが現在の日本大学教育の持つ大きな問題 ではあるまいか。



会話文1


A:  失礼ですが加藤先生ではいらっしゃいませんか。

B:  ええ、加藤ですが。おお、鈴木君じゃないか。元気かい (4)

A:  はい、おかげさまで。ずいぶんごぶさたいたしておりまして。 先生はお元気でいらっしゃいますか。

B:  うん。去年の夏、ちょっと手術をしたんだけど、それ以来調子がいいようだよ。

A:  それは存じませんで、お見舞にもうかがわないで失礼いたしました

B:  なあに (5)別に大したことじゃなかったんだから。君、きょうは何か研究発表を するんだろう。忙しいんだろうから、会が終ったらまた合おう。

A:  はい。では、後ほど。失礼いたします。



会話文2


A:  このあいだ学会があったろう、広島で。

B:  うん。

A:  そこで加藤先生にお目にかかったよ。

B:  へえ (6) 。何年ぶりぐらいだろう。もう五年になるかね。お元気だった。

A:  うん、お元気だったよ。前よりもお元気に見えたぐらいだよ。でもね、 去年の夏、胃の手術を受けられたんだそうだ。君知ってた (7)

B:  いや、知らなかったなあ。

A:  それからずうっとお酒はめしあがらないんだそうだよ。

B:  へえ、加藤先生が。信じられないな。でもお元気で何よりだ。

A:  それで、正月には、君なんかとお邪魔するってお約束してきたんだけど、 君行けるだろう。

B:  うん、そりゃ (8) 喜んで行くよ。ずいぶんごぶさたしちゃった (9) からね。


    = 留 意 語 句 =


      お目にかかる
      ごぶさたする
      気がする
      お供する
      時間を過ごす
      手術を受ける
      お邪魔する
      世にあふれる
      大学に通う
      単位をとる
      関係の希薄化
      封建的関係
      お見舞にうかがう
      研究発表をする